ローヤル珈琲店 本店
1962年創業。浅草にクラシカルな有名老舗喫茶店があると聞き付けて、朝の時間に訪れた。
今回の様な大人気店を訪問する時は、朝の開店時間のすぐ後。週末の昼時やお茶時は当たり前の様に満席なので、客がまだ入り切っておらず静かに寛げる時間帯を狙っている。
店先に目立つ看板を出している。テレビでも紹介されたホットサンドが人気とのこと。ミーハー客も歓迎の意だろう。
地元の常連客がしきりに入店してくる。お年を召した男性一人だったり、老夫婦だったり。その殆どがモーニングのトーストを注文する。こんな当たり前で贅沢な朝の風景が、何十年も途切れることなく続いてきたのだろう。
鎌倉山のチーズケーキ
+セットの珈琲 ¥750
珈琲の香りだけで蕩けてしまう。一口含むと幸福の溜息。
全く癖がなくするりと飲み終えてしまう。味も量も、ご老人が新聞を読みながら珈琲一杯を嗜みに来るのに最も適した形に洗練されている。
チーズケーキは程よく固く、でもフォークを引くとなめらかに裂ける。気取らなくどこか素朴、目を閉じると緑の風景を感じさせる。鎌倉山の名前のせいだろうか。
檸檬を垂らしてみると絶妙なスパイスになる。
銀食器と愛らしい丸いガラスの塩入れ。
男性店員の声が低く響く。馴染みのおひとり客に「どうですか、忙しいですか?」と声をかけていて、相手も周辺の商人だと知れる。浅草という下町の風情を感じ、また、こういう小さなコミュニケーションの積み重ねが老舗喫茶店の繁盛を支えてきたのだろう。
一度ソファに腰を下ろし落ち着くと、席を立たせない悪魔に取り憑かれてしまう。極上の喫茶店は往々にして、抗い難い魔力を持っている。
▼食べログ
ローヤル珈琲店 本店
03-3844-3012
東京都台東区浅草1-39-7
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131102/13008614/
珈琲 ショパン
昭和8年創業の老舗中の老舗純喫茶。神田淡路町に鎮座する珈琲ショパン。訪問したのが2020年ですので、お店を開いて87年目ということになる。道路を挟んで向かいは老舗蕎麦屋のかんだやぶそば。どちらも誇り高い風格を感じる。
お店自体も大変有名ですが、こちらの「アンプレス」が大人気商品らしく。あんバタートーストに目がない私は即座に訪問を決めました。
白い壁に薄暗く静まり返った雰囲気。ここだけそっくり切り取られたかのような非日常の空間がある。
彫られたショパンの字がたどたどしいのが昭和感を煽る。
入口の目の前。4人がけのボックス席。
これより奥は変わった座席の並べ方がされている。カウンターと向かい合わせに壁沿いに椅子が並んでいる。一人客用席かな?
店の奥に行くにつれて、再びボックス席が用意されている。
ブレンド珈琲 ¥550
アンプレス ¥500
待ってました!
サクリとトーストを齧ると、バターの染み込んだトーストとあんの素晴らしい調合に感激します。
見た目はこんなにシンプルなのに、味は酷く複雑。
驚くほど柔らかくなめらかで、粒だって瑞々しいあん。一流の和菓子屋さんの餡子をそのまま食べているかのような満足感に浸れます。堂々たる甘さも申し分無し。本当に素晴らしい。大ファンになりました。
変わった形状のシュガーポットやミルクポットを見るのが楽しい。カウンター下の棚に同じシュガーポットが3つ並び、テーブルに運ばれるのを大人しく待っている。
目を凝らしてみると、ステンドグラスには店名がある。
煌びやかなステンドグラスとは反対に、様々な木彫りの置物や小さなテーブルの真ん中を陣取る大きな灰皿が、ちぐはぐさのある独特の世界観を作っている。
昭和の頃から名曲喫茶としてクラシックを流していたそう。看板やカップのピアノモチーフの理由ですね。
「アンヂェラスのケーキが……」と、女性店員さんが男性店員さんに話していた。ピンとくる。去年惜しまれつつ閉店したあの有名な浅草の喫茶店アンヂェラスのことに違いない。老舗喫茶店同士、ファンなのだろうとその口振りから感じられて感動にも似た気持ちになる。
店員さんの会話を心地好く聴きながら、気高い純喫茶の空気に浸る。
私は古い地名も好きで、神田神保町、神田鍛冶町、神田紺屋町、神田北乗物町、神田練塀町など、今も江戸の地名を大切に残している都内を尊敬しています。
こちらの神田淡路町の淡路は、律令制時代の国名で今の兵庫県淡路島のことだそう。淡路国(あわじのくに)。(お店の住所は神田須田町ですが神田淡路町のすぐお隣で最寄り駅は丸ノ内線淡路町)
百年近く続く老舗が軒を連ねる地区とのこと。神田は敬意を払う大好きな街です。
▼食べログ
ショパン
03-3251-8033
東京都千代田区神田須田町1-19-9
https://tabelog.com/tokyo/A1310/A131002/13011258/
THE LOUNGE(ウェスティンホテル東京)
ウェスティンホテル東京(The Westin Tokyo)は、マリオットインターナショナルグループの五つ星ホテル。
伝統的なアフタヌーンティーを楽しみたい方へのおすすめは「トラディショナル アフタヌーンティー」。土日祝日限定で、2時間制で12時~17時の間に3回の入れ替え制になっています。当ホテルペストリーシェフこだわりのデザートをこころゆくまでお楽しみいただけます。(公式サイトより)
重厚な円柱、高い天井、滝を望む大きな窓、さながら欧州のシャトーを思わせる気品と落ち着きが感じられるこのラウンジ。アフタヌーンティーでも、ランチタイムやカクテルタイムでも、お客様の目的に合わせて、気兼ねせずいつでも優雅にお過ごしいただけます。(公式サイトより)
ラウンジの内装がとにかく素晴らしかったので、ソファにかけているだけでも目に楽しい。
ケーキスタンドとは別に用意されるスコーンだと余計に嬉しい。
サンドイッチ達も余すことなくひとつひとつ全て美味しかった。小さな紙袋で包装されているのもお洒落感がある。
一番のお気に入りはこのチョコレートのエクレアの様なサンドイッチの様なお菓子。物凄く美味しかった。チョコレートの味が甘く濃く、カスタードクリームはさっぱりと重くなく、下層のクッキー生地は香ばしく、完璧な組み合わせ。
レモンクリームのプチタルトも美味しかった。再び紙袋があるのですが、中身はビスコッティとクッキーでした。これが二番目のお気に入り!大好き。
お皿に盛られているのも好きですが、コンフィチュールの小さな瓶がいくつも並んでいる姿はたまらなく可愛い。
1886年、スイスLenzburgに創業したHero。 創業者のHenckell氏 と Roth氏の最初の二文字“He”と“Ro”を取って名づけられました、とのこと。
内装もお料理も大変おすすめ!ウェスティンホテルのアフタヌーンティー、また訪れたいと思う数少ない所。
▼公式サイト
https://www.theloungetokyo.com/jp
▼食べログ
ザ・ラウンジ
03-5423-7287
東京都目黒区三田1-4-1 ウェスティンホテル東京 1F
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130302/13014060/